濵ちゃんの足跡

前のページ 次のページ 目次へ戻る

9.新しい課題、パケット通信

次の課題は、PDCのパケット通信であった。本来、移動通信にパケットという概念が存在するかどうか技術的に疑問視する向きも多かった。そんな中で、お客様は着々と開発を進め、28.8kbpsのパケット通信「DoPaサービス」を始めた。従来の3チャンネルTDMAでは、ハイパワーアンプの最大動作率は1/3。それをフルスロット動作させる訳だから熱暴走するのではないか。安全設計すると放熱問題に取り組む必要がある。散々苦労の末のサービス開始であったらしい。あったらしいというのは、この開発佳境のとき、D社はPDCの開発遅れの挽回真っ直中で、それどころではなかった。移動通信パケット技術に関しては、完全に出遅れた。

ところが、この肝いりの「DoPaサービス」が極めて不人気で、まったく加入者が延びなかった。累計1万加入者にも至らなかった。そんな中で、信学会の全国大会で突然お客様からパケット通信に関する大量の論文が発表された。これはおかしい。これはなにかあるなということで、なにに繋がるかはわからないが、とにかく要素技術のひとつとして準備しておくべきという意見にまとまって、すぐに開発に着手した。これが、あとで大きな成果に繋がった。

前のページ 次のページ 目次へ戻る