濵ちゃんの足跡

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23.OS(Li)へ

3G機の1号機と2号機は米国G社から購入したOSを、リアルタイムOS(μiTRON)と合わせて2階建てにして使っていた。これにM/Wを載せ、アプリケーションS/Wを載せるという階層構造を持たせた。OSからアプリケーションS/Wまでの総S/Wはパソコンを凌ぐ。

これをバグレスで構築していく必要があるのだが、D社のS/W開発技術、S/W構築技術、S/W管理技術をじっくり考察すると、とても不可能なことに思えた。対策は汎用のOSの導入しかない。これをOS(Sy)と決め、研究所にお願いして、発先行開発レベルで準備を開始した。研究所は精力的に開発を進め、徐々に、その輪郭が明確になりつつあった。

ところが、ここで大船の研究所が異なる構想を持ち込んできた。世の中の動向はOS(Li)だと。情報家電は明らかにOS(Li)で、その核がすでに完成しており、これから情報家電と連携が必要になる携帯電話もOS(Li)を使うべきだと。某部長、某副所長が所長を口説いた。何を根拠にしたか分からないが、これに所長が載ってしまった。

いやちがう、当社には情報家電などなく、今からOS(Li)の開発を始めたとしても間に合わない。非常に大きな開発投資を伴う。無理だ。準備を進めてきたOS(Sy)でいいと説得したが、聞き入れられない。P/N連合がOS(Li)を選択している。自社だけでは開発はできない。主流派のP/N連合と同じLinuxにしておかないと日本市場でマイナーになってしまうと。

とうとう最後は議論にならなくなった。私も「そこまでいうなら好きにしたら」と投げやりになった。これが結局、大きな回り道になる。反対を続ける私は、03/1、開発を離れ、本社へ異動させられた。

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