濵ちゃんの足跡

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24.特別講座5(会社はだれのものか、主役は社員)

会社は、だれのものでしょうか。株主のものでしょうか?それとも社員のものでしょうか?議論姦しいものがあります。旧来の考え方は株主(資本家)のものでした。今でもそれが主流です。株主総会などはその典型です。株主が社長をはじめとする経営陣を決め、社員を使用人のように使う、そんな構図です。一方、労働者の強い国では、会社はあたかも社員のもののようにふるまいます。

現在の理解は、どちらも正しくないと思っています。正解は、その会社に関連するあらゆる人々、ステークホルダ共有のものという考えです。株主は利益を創出してくれる社員がいなければ会社は成り立ちません。社員は会社がなければ働けません。お客様も会社が産み出す商品の恩恵を受けます。仕入れ業者はもちろんビジネスとして展開します。地域住民さえも影響を受けるでしょう。そういうふうに考えると、買ってやっているとか、売ってやっているというような関係者の上下はありません。すべて同等な関係です。同等なパートナーとして会社を共有しています。

こんな話をしました。米国のMo社は、世界市場を席巻しているときに、納入メーカーに対して厳しくプライスダウンを要求しました。私買う人、あなた納入する人。だから「私、優位。私の言うことを聞きなさい」という構図で、ほとんど暴力的に行動しました。ほぼ頃を同じくして、欧州のNo社が、納入メーカーは全部生計を共にする仲間、パートナーという考えをうちだしました。そうしたらどうなったか。世界一流の納入業者がMo社からはなれて, No社になびいたのです、Mo社は散々でした。納期遅延の嵐です。まったく部材が納入されてきません。どんどんトップシェアからおちて、見る影もない形になりました。

また、こんなこともありました。ケータイのLCDをカラー化するときのことです。全メーカに先駆けて、D社だけカラー化に成功しました。売れに売れています。そんなときACアダプターが発熱するものが市場で出始めました。すぐにACアダプターメーカーを呼んで、調べました。電源回路に入っているフォトカプラに100個の不良品が混在しているというのです。悪いことにロット管理されていないので、その不良部材がどこに入っているか分からないというのです。結局120万個を回収しました。その間、本体は売れません。みすみす指を銜えてトップシェアを譲るしかありませんでした。もっと普段からパートナー意識でビジネスを共有していれば、避けられた問題だったと反省しています。ビジネスをうまく回すためにはステークホルダのすべてを味方にする必要があります。

そういうふうに考えつつ、下名は「会社は社員が主役」、「会社は社員のためにある」と思っています。本当に働く人は社員です。社員は会社のために必死で働きます。そういう人たちが大事にされないなんて許されません。会社は資本家にあるのではなく、毎日汗水たらして働いている社員に優位をもたせた経営をすべきだと思っています。

特別講座5(会社はだれのものか、主役は社員)

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