濵ちゃんの足跡

前のページ 次のページ 目次へ戻る

140.最近の読書から(2)

(5)「知っておきたい認知症の基本」川畑信也

今回一押しの本です。物忘れ外来科というユニークなアプローチで認知症に真摯に取り組んでおられるお医者さんが書かれた本です。前半は、認知症とはという医学的な視点で解説されており、後半は認知症の人をどうやって介護したらよいかということが非常に分りやすく記述されています。

この本を読もうと思ったきっかけは、①自分自身が罹病するかもしれない、②家族のだれかが罹病するかもしれない、③もし、部下のだれかが認知症の家族を抱え込んでいたときにどう振る舞えばよいか、という3つの視点からです。

認知症の約半分は脳が縮退するアルツハイマー病が原因で、ほかに脳梗塞や脳出血、頭蓋骨打撲、脳膜下出血なども原因となることがあるそうです。一般に認知症は90%の人が罹病し、基本的には進行して後戻りしない治らない病気ですから、その原因と対策をしっておくことは非常に大事です。

特に後半の介護については、例がたくさん記載されていて参考になります。認知症の人は何回も何回も同じことを聞きますが、本人は前に聞いたことを完全に忘れているので、都度本気で真剣に聞いているそうです。そういう病気だと分っていても「さっき言ったでしょ!」とか「おんなじことを何回も聞かないでよ」というような対応をしてしまいそうですが、そうすると病人は邪険にされているように思ったり、自分だけに隠し事をされているように思い込んで猜疑心が発達したり、暴力的になったりして、どんどん病気が進行してしまうそうです。病気といっても肉体は健康ですから、一緒にそばにいてひとつずつ進めながら作業をしてもらえれば、本人も楽しいし、病気も進まないと書いてあります。

若年性認知症というのもあるそうですから、是非、一度読まれたらいいのではないかと推薦しておきます。

前のページ 次のページ 目次へ戻る