濵ちゃんの足跡

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155.デフレが続く

不景気→損益悪化→設備投資減少→給与・賞与減少→消費の減退→値下げ競争激化→売上げ減少→不景気というサイクルで、どんどんデフレが進んでいます。このデフレスパイラルは当分続くと思われます。その理由を上げてみます。

まずは「少子化」です。老後の面倒を子供がみることは期待できませんから、どうしても先行き不安になり、貯蓄に回す心理が強くなり、消費を抑制しています。「老齢化」も要因です。今、団塊の世代をはじめとして高齢者が一番お金を持っているはずですが、将来不安からお金を使わないだけではなくて、貯蓄生活者や年金生活者が、持ち金が目減りするインフレを望んでいないことも問題だと思います。

それよりも何よりも一番の問題は、技術立国、物作り立国であったはずの日本が、どんどんその地位を失っているということです。中国は、もっぱら製品輸入からスタートしますが、そのうちに製品のノックダウンに切り替えて徹底的に製品知識を勉強して、部品レベルの購入で付加価値を上げ、ついにはIPを購入して自社設計による商品開発で、完全に自立することを目指します。もちろん製造面においても徹底的に品質を図って、品質的にも価格的にも日本の製品に負けないレベルに近づきつつあります。こうなると日本からの輸出が減るだけではなくて、中国製品の中国から日本への逆流が始まり、ますます日本の製造業の競争力の減退が加速されます。ですから、ますます国力が下がり、不景気が続いて給与は下がり、デフレスパイラルからの脱出が難しくなります。最近、政府がGDPの拡大ではない、すなわち経済成長以外の幸せ探しを始めたりしていますが、これもいい方向だとは言えません。

しかしながら、デフレは問題があります。一番は赤字国債の解消ができないということです。戦前はUS1ドルがほぼ1円でしたが、これが固定レートのときで365円、変動レートの今で約100円ですから、その比率分のインフレ、これで戦争の莫大な借金や賠償金が処理できたことで分るように、政策的には緩やかな経済成長が必須です。

また、デフレのケースでは、どうしても値下げ競争になりますので、製品品質が低下する傾向になります。少々問題があっても安い方がいいという心理が働くためです。インフレ傾向のときは、価格よりも品質のよいものを求めますので、どんどん生活がよくなっていく実感が得られます。

そういう視点があるものの、現状はデフレ要因が強いと思われます。この状態が続く、つまりこの状態が先般の「New Nomal」だと考えて、今後の計画、営業展開の基盤として意識する必要があると思われます。

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