濵ちゃんの足跡

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194.梨作りの話(2)

次は袋掛け。小さい実のときに1回掛けて、その袋が破れるまえに、もう一度掛ける、すなわち袋掛けは2回やらないといけない。袋の上部には粘着部があって、梨を入れて軽くつまむだけで、袋掛けはできる。簡単そうにみえるけれども、なかなかできない。下手をすると実を落としてしまう。その点、地元の女性はすごい。片手でひょいひょい。とてもかなわないので、毎年バイトを雇うことにしている。

70本の梨の木で2万個くらいの実を収穫して、次に行うのが、肥料やり。特に、2年に1回の肥料やりがたいへん。周辺をユンボで約2メートル掘って、牛糞、堆肥を敷きこむ。たいへんな重労働だ。

作業がしやすいように、梨畑は新しい枝を横に這わして棚にするけれども、このときに注意しないといけないのが、枝を水平からちょっと上に向かせること。水平より下にするとその枝には養分が行かず枯れてしまう。梨の木が、成長を期待されていない枝と受け止めてしまう。全部の枝を水平にしたつもりで、実際には下を向いていて、木全体を枯らしてしまったこともある。水平よりちょっと上を向かせておくと、ちゃんと花をつけ、実が収穫できる。すごく微妙で面白い。

一言で梨の木といっても、梨の木は生き物。毎日、毎日が勝負。1日としてタイミングを外せない。とてもゴルフなどやっている場合ではない。

この話を聞いて、人の育成と絡めて考え込んでしまいました。土壌(畑)をつくる、指導(選花、剪定)する、保護(袋がけ)する、ほめる(枝を水平より上に)。叱ってばかりではなく、毎日、毎日、真剣に向き合わないといけない。すごく考えさせられました。

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