濵ちゃんの足跡

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閑話休題(10)映画「俺は、君のためにこそ死にいく」

「俺は、君のためにこそ死にいく」という映画を観てきました。石原慎太郎脚本・総指揮で、前宣伝もいろいろ行われている映画です。すでに封切りになりましたので、皆さんのお近くの映画館でもやっていると思います。

内容は、昭和19年から20年にかけての特攻隊の話ですが、非常にメッセージ性の高いものに仕上がっています。

戦争物ですから、戦争そのものの狂気さ、悲惨さ、命令者と実行者の関係、中間将校の空しさ、周囲の人たちへの影響、司令官の責任、戦後の後遺症などが、当然のことですが、非常に丁寧に描かれています。

何よりも素晴らしいのは、タイトルにあるように、何故若くして特攻に志願するか、何故死にいくのか、という「何故?」という問いかけに対して、きちんと答えを用意してあることです。

実際には「志願という名目の、実質の命令」という雰囲気を作り出して、本人自らが進んで死んでいくというふうに仕掛けられる訳ですが、それであっても、志願する人たちは、純粋で、国家のため、父母のため、兄弟姉妹のため、愛する人のために、それぞれ対象が違っても「愛しい人、愛しいもの」のために死んでいくと描いています。

その結果として、だから、今、生きている我々は、それを理解し、感謝して生きなければならないと伝えるのです。

男は、従来から、一般的に戦争ものについて本を読んだり、話を聞いたり、いろいろ理解しようとしていると思いますが、女性はなかなかそうではないのではないかと思います。一緒にみて「いろんなことが腑に落ちた」と言っていました。細かいことは分かりませんが、女性の立場でも一度観てみられたらいいかと思います。

私の場合は、この特攻隊の人たちは20歳から25歳くらいしか年上ではありませんので、戦後60年も経った遠い話という感覚ではなく、ほんの20歳しか違わない人たちに実際に起こったことで、そういう人たちが極限の中で考え、ぎりぎりの行動をしたという事実を自分に置き換えてみるというところがあって、いつまでも20年の差でしかない、いつまでもたった20年差のこととして考え続けさせられるのです。

みなさんも60年前の風化した話としてではなく、日本で実際にあったこと、その歴史の上で今の生活があるということを理解するために、是非、この映画を鑑賞されたらいいと思います。

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