濵ちゃんの足跡

前のページ 次のページ 目次へ戻る

閑話休題(59)現代語訳「学問のすすめ」福沢諭吉 /斉藤 孝(訳)=ちくま新書

初編 学問には目的がある(明治5年2月出版)

社会的地位が高く、重要であれば、自然とその家も富み、下のものから見れば到底手の届かない存在にみえる。しかし、そのもとを見ていくと、ただその人に学問の力があるかないかによって、そうした違いができただけであり、天が生まれつき定めた違いではない。一生懸命やるべきは、普通の生活に役立つ実学である。

今の世の中に生まれて、国をよくしようと思うものは、何もそれほど苦悩する必要はない。大事なことは、人としての当然の感情に基づいて、自分の行動を正しくし、熱心に勉強し、広く知識を得て、それぞれの社会的役割にふさわしい知識や人間性を備えることだ。そうすれば、政府は政治をやりやすくなり、国民は苦しむことがなくなり、お互いに責任を果たすことができる。そうやってこの国の平和と安定を守ることが大切なのだ。私がすすめている学問というものも、ひたすらこれを目的としている。

前のページ 次のページ 目次へ戻る