濵ちゃんの足跡

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16.IOT

さらに、半分横目でみていた話。

でも、当社の欧州陣営には「GPRS」があった。No社よりも技術的に先行している。IOT(相互接続性確認試験)で各社の技術レベルがわかる。GSM/GPRS携帯電話を基地局メーカーやオペレータに送ってテストをしてもらう。D社のGPRSは抜群の完成度であった。1年以上もかけてIOTを通してきたD社のGPRS技術に絶対の自信があった。このレベルでNo社もGPRS機の出荷を始めた。

ところが、ここでSe社が動いた。GSM/GPRSの基地局スペックには、オペレータオプションというパラメータがある。各オペレータが使ってもいいし、使わなくてもいいと選択できるものだ。端末はどのオペレータが使うかどうかわからないので、基本的にすべて動かないといけないが、どのオペレータも使っていないパラメータは試験のしようがないので、そのままにせざるをえない。

そのひとつ「PCCH」。そこをSe社が突いてきた。Se社の端末開発が遅れている。これを救済する秘策として、どのオペレータも採用していないひとつのパラメータをSe社の基地局がサポートすると言い出した。もう一度、まるまる全部IOTのやり直しが必要になった。

結局、都合2年間をIOTに費やした。先行一人勝ちのシナリオはなかった。合法的にD社は沈められた。No社になれる夢はもろくも消えた。欧州の連帯意識の強さとアジアの田舎者の一人芝居をみせつけられた。

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