濵ちゃんの足跡

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64.農薬入り餃子と静電気対策

このところ、中国で製造された餃子に農薬が混入して、その餃子を食べた人が中毒症状に陥ったという事件があり、中国の工場で混入したのではないかとの報道が盛んに行われていますが、この報道をみながら思うことがあります。最終的にはどこで農薬が混入されたかというのがポイントですが、それを決定するには材料段階から、製造段階、梱包段階、輸送、検疫、開梱、拝送、店頭まで、可能性のあるすべてにおいて問題がないかフラットに疑って調べる必要があります。軽々に中国の製造工場が怪しいと決め付けることはできません。

これと似たものに、静電気対策があります。微細化された電子デバイスは静電気に非常に弱くなっています。低いものでは10数Vから百数10Vで壊れるものがあります。静電気破壊は、ヒューズが切れるような電流破壊ではなく、高電圧によってピンホールができてしまうような電圧破壊ですので、電力の大きさには比例せず、ただただ電圧の大きさに依存します。

静電気による破壊は、そのデバイス工場から、組立工場、製品になるまで、そのルートのどこでも発生する可能性がありますので、そのルートのすべてに亙って静電気対策を施さなければなりません。我々が物流段階で品物に触る場合もそうです。ほんの一箇所でも問題を残すと、他の対策が意味をなさないことになります。食物の安全もすべてのルートで安全を保証されないと意味がありませんので、その意味で似ています。

ちょっと勉強ですが、静電気の発生は、表面抵抗の大きさに依存します。表面抵抗が10のマイナス6乗オーム以下ですと静電気は発生しません。10の6乗から10乗くらいの間は帯電したところとそうでないところが混在します。10の10乗を超えると静電気が帯電します。ちなみに冬場のセーターを着込んだ人間だと3000Vから大きくなると1万Vもの帯電をしています。ですから、ドアのノブなどを掴んだときに「バチッ」と静電気が飛んで痛い目に合う、あの現象がおきる訳です。話は更に逸れますが、人間は電圧に強く1万Vの帯電にも耐えることができますが、電流には非常に弱い性質があります。電流が体内を数mAが流れると死にますので、電流に関しては極めて注意が必要です。ですから静電気を流す方法としても、単に接地するのは危険で、1Mオームくらいの抵抗を経由して接地するようにされています。

食物の安全、静電気対策の話をしましたが、これらは品質全般の話に置き換えができると思います。私たちが扱う商品はすべて、メーカーからお客様にその商品が渡るまで、全ルートで品質が保証されないとうまく行きません。その意味で営業品質というのもあると思います。私たちのやっていること、それこそ伝票発行ひとつにしても正しく商品をお客様にお届けする一環の作業であり、品質を保証しているルートのひとつなのです。農薬入り餃子事件を他人事と考えないで、自分自身を律する他山の石としたいと思います。

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