濵ちゃんの足跡

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190.A本部長を惜しむ(1)

Aさんが亡くなった。昨年11月に病気が見つかってから僅か5ヶ月、享年59歳の若さである。いくら検査しても見つからず、病気の癌が見つかった時点では、もともとの発症場所が特定できないほどの広がりで切除不可能、外科的処置はできなかったとの説明があった。本人の無念さが痛いほど分かる。Aさんは見かけのどおりの美丈夫で、ジャガーや20数フィートのプレジャーボートを乗り回し、サッカー、ゴルフ、つりを行い、中でも最近は少林寺拳法に熱中し2段に昇段、仕事熱心の、いつも笑顔を絶やさぬ余裕人であった。

下名とAさんは、もちろん下名が入社してからの関係であるが、西村さんという縁の深い人が介在している。R社の西村さんは、西日本営業の担当で、下名とは1980年代後半からの付合いであるが Aさんと西村さんの関係もずいぶん若いときからのようである。

7、8年ほど前のことであった。営業統括部長として飛ぶ鳥も落とすほどの勢いのあった40歳台の西村さんが、あることで当時の社長の逆鱗に触れ、3階級下の一課長に降格され、神戸支店へ左遷されたことがある。今は完全復帰されているが、そんな西村さんを全面的に助けたのがAさんであったと聞かされている。

当社のビッグなお客様であるN社といえばAさん、徹底的に信頼を得ている。100%直販しかしていないR社がN社向けだけ当社を代理店としたのはAさんの力である。そんなこんなで、下名と西村さんが懇意であることを知ったAさん。下名はAさんと急接近できた。

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