濵ちゃんの足跡

前のページ 次のページ 目次へ戻る

閑話休題(73)現代語訳「学問のすすめ」福沢諭吉 /斉藤 孝(訳)=ちくま新書

第15編 判断力の鍛え方(明治9年7月出版)

信じることには偽りが多く、疑うことには心理が多い。世間の愚かな者たちは、人の言葉を信じ、本に書いていることを信じ、俗説を信じ、うわさ話を信じ、神仏を信じ、占いを信じる。人民は、何かを信じているといっても、実は偽りを信じているのではないか。文明の進歩は、形のあるものについても、形のないものについても、その働きの元を探究して、真実を発見することによる。そのためには異論を出して議論するしかない。

とは言っても、物事を軽々しく信じてはいけないのならば、またこれを軽々しく疑うのもいけない。信じる、疑うということについては、取捨選択のための判断力が必要なのだ。学問と言うのは、この判断力を確立するためにある。

前のページ 次のページ 目次へ戻る