濵ちゃんの足跡

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138.「富士山頂レーダ」(2)

新しい気象レーダは、直径5m、10cm波、1500kWの諸元です。`65(昭和40)年に完成し、運用が開始されます。なんと半径800kmを観測することができました。太平洋上の台風もはっきり観ることができます。その後の気象予報にどれだけ貢献したかは計り知れません。

この一連のプロジェクトをやり抜いたのが気象庁測器課の藤原課長ですが、翌`66年に退官されて、この史実を「富士山頂」という本に書き下ろされます。その藤原課長こそが作家新田次郎です。

`99(平成11)年には、衛星による気象観測ができるようになったことから、その任務を35年間で終了し、解体されて、今は吉田市に展示されています。`00年(平成12)には、歴史的な偉業のひとつとしてIEEEマイルストーンのアワード(日本では八木アンテナに次いで2番目。現在までに世界で96件。日本では累計11件)を受賞します。

長々と「富士山頂レーダ」の話をしましたが、要は、前人未到の、失敗するか成功するか分らない仕事で、命があるかないか分らないような仕事でも、先人はチャレンジしてきたことを知ってほしかったからです。それに比べれば我々の仕事はもっと粘り強くやれば、もっともっと成功するだろうと思います。

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